02-00600　金光寺

金光寺藤
　藤の花これまてあらはれいて蛸也　　其角

本尊藥師佛やくしぶつ

仁明帝承和元年の珍怒海ちぬのうみに夜々よる〱光明あり
此由を奏して海底かいていに網あみを布しきければ此尊像を得たり
故に網道塲あみだうじやうと号がうし又金光こんくはう寺と勅号ちよくがうあり

開基眞澄しんちよう上人

稲荷大明神の告によつて阿弥陀佛三尊を感得かんとくしこゝに安置し念佛道塲とし給ふ

紫藤しとう

寺前にあり
麗花れいくはたるによつて後小松院勅して禁庭きんていへうつし植うゑさせ給ふに不日にして枯にき
帝みかど夢ゆめの中うちに和哥一首を得給ふ
　おもひきや堺のうらの藤浪の都の松にかゝるへしとは
御夢おんゆめ寤さめての後のち藤ふじの精霊せいれい玉體ぎよくたいに奏そうしけるよと御感ぎよかんあつて御宸筆ごしんひつに此哥を遊され御製を添られ紫藤しとうを當寺に胎返おくりかへされたまふ
旧趾きうせきに植うゆるに忽たちまち栄さかへて枝葉しよう繁茂はんもして元^トの如し
人ひと咸みなこれを竒き也とす
　　　^{金光寺の藤の花見て}
　藤浪や上は夕波下は人　　　季　吟